Socidea ブログ

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2011年

2月

16日

Facebookに対抗?SNSでの顔認識技術

SNSで友だちを探すときに、アップロードした自分の顔写真を認識して、友達を紹介してくれる・・・・。というと、Facebookの技術だと思いますよね。

 

犬も顔認識できる?
犬も顔認識できる?

それが、ちがうんです。Googleがちゃっかり欧州で特許出願していたことが、公開されました。

 

確かに、Googleの写真整理ソフト「Picasa」は、SNSではないですが、SONYの顔認識と同じような技術で、顔認識を行った結果、写真を自動分類してくれます。この技術は、これのSNS版といったところでしょうか・・。

 

この記事によると、画像認識による顔認識は、Googleが2009年ごろに行っていましたが、個人のPrivacyへの配慮から、この運用や開発を遅らせていたようです。

 

ですが、時代は進み、Facebookによる、実名公開と顔写真掲載・・という世の中になり、Privacyはある意味そっちのけ・・。こんな展開は、Googleも予想外だったのでは?

 

とはいえ、Googleも特許をしっかり出していたわけですから、肝心なところは、おさえていますよね。

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2011年

2月

05日

優先権証明書の提出が省略できる制度

特許を外国に出す際には、最初に出願した国での出願日と、同等の利益が認められることがあります。これは、平たく言うと、他の国もその国で出願したと同じになる・・ということです。特許は新規性が問題になるので、出願日は早いほうがよく、先に出した出願と同じ日に出したことになれば、特許になる確率が高まります。

 

例えば、日本で最初に出願した後に、中国、EP、インド・・と特許を出す際には、この制度(優先権制度といいます)を利用したほうが、よいでしょう。

 

ですが、この手続がちょっと面倒です。

 

といいますのも、手続きの一つとして、日本国特許庁が発行する証明書(優先権証明書と呼ばれます)を、紙で取り寄せて、外国に送付しなければなりません。この証明書は、立派な帯がしてあり、見た目は格好いいのですが、1通あたり、1100円かかります。しかも、ちょっと厚めで、各国へDHLなどでの郵送コストがかかります。

 

しかし、このインターネット時代!のおかげで、この証明書は、出願人が送る必要はなくなり、各国の特許庁間で、書類のやりとりをしてくれることになりました。

 

これは、優先権書類デジタルアクセスサービス(通称、DAS)と呼ばれているもので、各国で優先権の証明データ(優先権データ)をやり取りしてくれる形です。これは、日本国特許庁に対して、アクセスコードというものを、請求して、このアクセスコードさえいただければ、インターネットのWIPOのページで、各国の特許庁と証明書を共有してくれ、とお願いするだけで、手続きが終わります。しかも、無料なんですよね。

 

せっかく、各国が税金をかけて作られた良い制度ですから、社内の知財コストと手間削減に利用したいですね。

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2011年

1月

14日

技術を公開する社会的貢献

 

特許は独占権で、他人が全く利用できなくなるのだから、社会にとって害悪では?

私は、この業界に来る前は、ITエンジニアをしていましたが、その時の特許に対する印象はこうでした。

 

それでは、なぜ、国などの行政は、税金をかけてでも特許庁を虎ノ門に建てて、特許権者を保護するのでしょうか?(虎ノ門にたてるのは別の理由ですかね・・。) 

そうなんです。

 

特許を出した後に、その技術情報は、公開されるんですよね。ですので、その技術は、形式的には、パブリックドメインのものになります。

おっと、しかし、騙されてはいけません。その技術が、特許権になると・・。

当然、その特許権者に許可をもらわないと、使用ができなくなります。

 

つまり、特許権がとられなくて、技術が公開されれば、最も社会貢献になる?わけです。

2009年の出願数35万件(ほとんどが公開されるとしましょう)において、特許登録件数は19万件です。つまり、この差の16万件は、独占権のない新規技術の公開情報と考えられます(厳密には、たいしたことない技術もあるのかもしれませんが)。

とすると、かなりの新規技術が独占権が付与されずに、無料公開されており、特許制度自体は、社会の貢献になっている?と考えて良いのかなと思われます。

 

これとは逆に、一度、公開されてしまった技術は、特許を取ることができません。

いわゆる、新規性がない・・ということになり、その人が発明していないと考えられるからです。

 

ですので、特許をとりたい技術を、インターネットで公開してしまえば、理論的には、他社が権利を取ることができないのです。

そのため、他社に特許をとらせないため、特許出願をしますが、自らも特許権をとらない・・という会社があります。

 

どういう事かといいますと、特許の出願をして、その後、その技術が特許庁により公開されます。これで、この特許出願は、目的を達したとして、自らが特許権を取得するための余計なコスト(その特許の審査請求料や、特許取得のための料金)を払わない・・という会社があります。

 

たしかに、この方法で、他社の権利化を阻止することができますが、当然ながら、自ら権利を取得することはできません。

 

それなら、そもそも、特許出願しなくても、よかったのでは?と思いますよね?これは、インターネットがない昔、世の中へ技術を公開するために、雑誌に載せるなどの手間を考えれば、特許の出願をしてしまうほうが、簡単だったという慣習によるものでした。

 

しかし、今は、インターネットの世の中ですから・・。

公開のみを目的とした場合は、例えば、以下のようなサイトが利用出来るでしょう。

 

特許の公開サイト IP.COM 発明協会

意匠の公開サイト DESIGNPROTECT

 

本当に自社が特許権を取りたい技術のみを特許出願する。

そして、他社の権利化を阻むために、技術を公開するのみの目的であれば、上記のようなサイトを利用する。

 

これが、今後の適切な知財マネジメントなのではと考えます。

2011年

1月

01日

自己革新とは

2011年になりました。

明けまして、おめでとうございます。

 

今年のソシデアは、ホップ・ステップ、ジャンプの、「ステップ」の段階に移れればと思っています。今年もよろしくお願いします。

 

今日は何だか、元気で朝早く起きてしまいました。

 

「イノベーションについて考える人、その人自身が自己革新的な考え方が出来ていなければ、会社に対してイノベーションを主導できるわけがない」

 

昨年、最も印象に残った言葉で、東大の妹尾先生が、このようなニュアンスをおっしゃていました。

 

その人自身が自己革新的な考え方が出来ている、とは、どういうことなのでしょうか?

 

自己革新とは、私たちの馴染みがあるところでは、アーティストが実現していたことなのではないかと思っています。彼らは、自己革新の表現者であることが存在意義であるとも言えます。

 

例えば、ベートーベンは、交響曲3番、5番、9番と、飛躍的に革新的な曲を作曲されました。これは、過去の先輩たち(モーツァルトさんやバッハさん)の偉業を継承しながら、自分自身の中で音楽と向い合って、音楽で表現できるもっと深いもの、を探し続けて、もがいて出した結果が、誰も聴いたことがない革新的な音楽を生み出したように思います。

 

したがって、イノベーションとは、過去のその分野における偉業を継承し、認識しながら、自分自身がさらに、その分野において、その分野の可能性の限界まで見つめて、もがいて出した結果である、とも言えるのではないでしょうか。

 

これをあてはめると、自分の場合には、従来の知的財産業務を承継し、認識しながら、自分自身がさらに、企業経営において、その可能性の限界まで見つめて、新たな知的財産マネジメントの方法を見つけること、が、ソシデアの責務であり、ソシデアに当てはめた自己革新的な考え方なのでは・・と思っています。

 

すぐに、自己革新的な考え方で、サービス提供ができるのは難しいかもしれません。しかし、少なくとも、そのような心構えで、知財マネジメントの可能性について、取り組んでいきたいと思います。

 

2010年

12月

11日

ビジネスモデルの網

事業戦略と知的財産マネジメント
事業戦略と知的財産マネジメント

事業戦略と知的財産マネジメント」という本が、発明協会から出ました。

この本のシリーズは、今まで、特許や意匠などの知的財産法を、高校生などの初心者向けに説明した解説書でした。しかし、この号は、今までとは全く緊張感が 異 なり、このままじゃ、日本は、世界においていかれるよ、というメッセージが伝わってきます。ビジネスモデルの勉強としては、非常に参考になるのではないで しょうか。しかも、858円でお買い得。

この本の主たる著者である、妹尾先生が、先日、「最近は、経営のコンサルタントが、私にビジネスモデルについて、教えてほしいと、訪ねてくる」と、おっしゃっていました。
現状、世界のビジネスモデルが複雑化しているため、過去の、あるビジネスモデルで経営コンサルタントをしていても、他のビジネスモデルを取り扱えないと、もはや、経営コンサルタントとして、商売ができないということのようです。

従来は、知財マネジメントは、経営マネジメントと分離していました。
しかし、三位一体の知財マネジメントが提唱されて、結局、知財が先行して、経営戦略、事業戦略を行うという流れから、知財が、会社に最適なビジネスモデルを検討する・・という役回りになってきました。

ですから、世の中の複雑なビジネスモデルを知るには、知財マネジメントを知ればよい・・ということになります。

例えば、インテルインサイド!は、どうやって、お金儲けしたか?が書かれています。

ものすごく、単純化して説明しますと、コアとなるCPU(コンピュータの処理部)の部分は、ブラックBOX化して、インテル社しか作れないようにする。そ し て、そのCPUの周辺のインターフェースの部分(CPUに情報を入力したり、出力するところ)を、オープン化したり、標準化する。このインターフェースの 部分は、オープン化されているので、台湾などのメーカが安く部品を提供して、広く普及する。この普及が、AMD等の競合会社を追い抜く程度に、すすむ。し かし、CPUは、インテルしか作れないから、台湾のメーカの部品を使っても、インテルのCPUを必ず使用する。これにより、インテルは、普及+コア技術に より、大儲け。 といった感じです。

いやー、スマートですよね。

入口は、広いから、みんな入っていくけど、出口から出るまでには、必ず、自社の製品を買わせてしまう、という感じですね。

このように、入口は、フレンドリーな顔をして、誰でも入れるようにして、出口までには、実は、ちょっと儲けていまーす、というビジネスモデルは、結構、流行っているような気がします。

Amazonって、僕ら自身よりも、僕らが買った本や、商品のことを覚えていますし、僕ら自身が気づかないぐらい適切な新商品の紹介をしてくれますよね。

つまり、僕らの脳みその一部が、すでに、Amazonの中にあるようなものでして、商品のレコメンド機能が便利ですから、商品の購入段階で、非常に入りやす い入口があります。そうしますと、他社と商品の価格を比べて、お店を選んで購入・・という今までの購買方法ではなくて、僕のことをよく知っている Amazonが推薦するなら、本を買ったほうがいいと思う・・・ということも起こっているように思います。これが、他社との、ものさしが大きくすり替えら れた差別化になるのでしょう。

これからのビジネスモデル、ひょっとしたら、騙し合いのような感じもしています。
でも、インテルにしても、Amazonにしても、消費者はハッピーですから、幸せに騙されている??

日本の企業も何か世界にしかけてみたいですね。