令和7年度 特許庁「知財経営支援モデル地域創出事業」熊本市担当の事業プロデューサに就任

特許庁は、令和7年度「知財経営支援モデル地域創出事業」において、知財重点支援エリアとして、愛知県、山口県、熊本市の3地域を新たに選定しました。この熊本市の本事業を推進するにあたり、事業を統括する役割である「事業プロデューサ」として、弊所代表の弁理士小木が選出されました。

本特許庁事業は、九州では初めて熊本市が採用されました。企業競争力を高める知財経営のリテラシを、九州において向上させる、大変、良い機会と考えております。統括するリーダーとして責任を持って本事業を執行して参ります。

下記は、7月16日に熊本KKRホテルで行われたキックオフMTGでの事業PDとしての挨拶になります。

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今回、熊本市の特許庁支援事業について、事業PDを担当させていただくことになりました、弁理士の小木智彦です。
この度は、皆様、宜しくお願い申し上げます。

私は、九州に来てから14年になりますが、まだまだ九州の地方都市の知財意識は低いと言わざるを得ません。
まさか今回のような特許庁の知財経営の支援事業に熊本市が自ら手を挙げるような日が来るとは想像もできませんでした。

それが今、こうやって熊本市が自ら本事業に本格的に乗り出したことは、本日ここに来られた皆さんの今までの努力が実った結果であると思います。

私は、宮崎で弁理士を起業しましたが、宮崎でこのようなスタートアップの知財支援を行政主導で始まるのは考えにくく、少なくともまずは、九州では福岡の次に熊本が盛り上がらないと、スタートアップへの知財支援は九州全土には行き渡らないと感じていました。
本事業が熊本モデルとして、知財支援が沖縄を含めた九州全土に波及することを願います。

さて、本日お集まりの皆様とともに、地域の知財経営支援を行うということですが、知財とは、一言で言うとなんだろうな、と漠然と考えられている方も少なくないと思います。

知財は、もはや特許権等の知的財産権のみではないことは、わかってらっしゃるかと思いますが、じゃあ何なの?とイメージがしにくいでしょう。今の時代の知財は、有形資産以外の「無形資産」が知財である、と考えていただければ正解だと私は考えています。

企業の価値ある無形資産とは、その企業が稼ぐ源となる情報であり、時代とともに変わるビジネス戦略の要です。したがって、私は知財専門家ですが、お客様に初めて、これが知財である(ビジネス上稼ぐ源である)、と教わることも多々あります。
つまり、知財の現場では、学術的な教科書のように、知財とはこうである、と表に示されて系統立てて並べられるものではないことも多いと考えています。

特に、今はDX社会でVUCAと呼ばれる不確かな社会の中、新しいビジネスを仕掛けるスタートアップはたくさんありますから、知財専門家が既存の知財を当てはめることは必ずしも正解ではないことが多々あります。このような理由から、知財専門家であっても、今の世の中の知財支援は容易ではない理由の一つではないかと私は考えています。

それでは、この知財支援事業では何をすれば良いのでしょうか?

そもそも、知財支援とは、昔のように、特許などの知的財産権の権利を取ることだけの支援ではありません。

今の知財支援とは、1つは「企業にその企業にとって価値ある無形資産を認識させること」、2つ目は「認識した無形資産でどういった行動を起こすことが、その企業の企業価値を上げるか」、この2つが知財支援の要であると考えます。

すなわち、まずは、競争力のある企業の強みをあぶり出し、そのあぶり出した強みを見える化する、これが大きな仕事になります。そして、この強みに対してどう行動したら、企業価値を向上させるか(持続可能な社会的価値に応えるか等を含む)について、その行動を認識させ、実際に行動を起こす支援を行うこそが知財支援であると考えます。

本事業においては、支援企業から既に経営上の課題をヒアリングしており、それに応える形で本事業は進めてまいります。しかし、支援企業自体が適切な課題を抽出できているのかという根本的な問題もあります。その適切な課題は何かという点まで本事業では、支援企業に意識化させることも大事な視点ではないかと考えます。

すなわち、今回伴奏する熊本の企業が、何がキーとなって未来に価値を創出するかを認識させ、見える化させることで、社会や金融機関が、このキーを認識できることこそが、本質的な知財支援ではないかと考えています。

これを本事業で行うためには、例えば、私も含めた事業PD側の専門家や、日本弁理士会の皆さま等の知財専門家に協力をいただき、企業の強みやコア技術についてヒアリングを行い、強みを見える化していきます。

そして、その強みやコア技術に基づいて価値を生み出す行動を起こす際に、企業と提携する、という行動が価値を向上するのであれば、商工会議所様や、よろず支援拠点様、くまもと産業支援財団様等の公的機関様から提携企業をご紹介頂く・・そういった支援が、本事業の一つの支援例ではないかと考えます。

本事業は、熊本で行うので、熊本ならではの課題を解決する試みも本事業では肝要です。

ここ数年の熊本の課題として、XOSSPOINT等の設立によりスタートアップ支援が始まりましたが、まだまだ福岡にはスタートアップ支援で追いついていない現状があります。
しかし、今回の事業で、熊本ならではの踏込んだ支援を行うことで、熊本が他県に劣らずリードすることは可能です。
例えば、今回複数の金融機関にもご参加いただいていおりますので、技術力・知財を融資担保にしていく知財の価値評価について、専門家とともに提案し、芯のある知財金融を実現することを熊本から発信することを目指してみたいと考えております。

今回、知財支援を行う企業は、スタートアップ企業と中小企業となりますが、スタートアップ企業の支援とは、そのスタートアップの存在理由となる個性を引き出して、思い描いている未来の価値を、中長期視点で、丁寧に現実化させていくことが肝要です。その丁寧な知財支援の熊本における基盤となるのが、本日集まられた皆様です。

今回は、特許庁による支援で本事業が行われますが、熊本市を中心とした知財経営を実現するためには、本日集まられた支援側同士の理解と、各団体が果たす役割を理解しあうことも大きな目的の一つであります。

今回、我々事業PD側で、本日お集まりの皆様に、企業の課題の解決方法や解決に至るまでの情報提供について、ご相談させていただきます。その解決方法や情報提供を皆様から頂き、そのプロセスを本エコシステムで共有いたします。これにより、その団体はこういう役割を担えるのだということを、今日お集まりの皆さんが理解し合うことを目指して参ります。

加えて、我々事業PDは、有限の時間でしか存在しませんので、本事業終了後に、熊本市のエコシステムを構成する皆様同士が自走できることを目指して参りたいと考えます。

特に、INPIT熊本県知財総合支援窓口は、本事業が終了しても、熊本で知財支援を行う重要な団体です。したがって、本事業において、INPIT熊本県知財総合支援窓口が本事業の後でも連続的に丁寧な知財支援を機能できるように、本事業では心がけてまいります。

最後に、本日ここにお集まりの皆様は、熊本の企業が良くなってほしいという想いを持たない方はいらっしゃらないと考えます。熊本の未来を担う企業の強みを引き出し、持続可能な価値を提供できる企業として育てられるために、みなさまと一緒に知財経営支援事業を進めてまいりたいと考えます。
この知財経営エコシステムを積極的に皆様に進めていただくためには、何より、支援企業が役に立った、と心から言っていただけることが、何より我々の活動のエネルギーになることは間違いありません。これを実現するように、我々事業PD側でも責任を持って進めてまいりたいと考えております。
私自身は未熟な点が多々あると思いますが、宜しくお願い申し上げます。

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